賃貸物件の情報サイトでは、部屋の広さを示す単位に畳が使われることがありますが、10畳と書かれた部屋の正確な広さをイメージできる方はそう多くありません。
それは、畳の種類による違いや間取りによる表記の違いが関係しており、さらには家具のレイアウトによっても広さは左右されるからです。
畳で示す部屋の広さとは?10畳分はどれくらい広い?
不動産の物件サイトでは、部屋の広さを示す際に畳の枚数で表すことがありますが、畳の枚数で表示される部屋がどれくらい広いか、正確にイメージできますか?
5種類の畳!広さにどれくらいの差が出る?
主に和室、稀に洋室でも部屋の広さを表す際に何畳分と示すことがありますが、畳1枚の大きさは何となくイメージできても、畳の枚数を多くなるほど正確にイメージするのは難しいでしょう。
イメージしやすい畳1枚分の大きさを、自分の身長や両手の長さなどを使って大まかな広さを把握することはできますが、実は畳には地域差があるのです。
畳の種類は5種類もあり、主に関東と関西でサイズの異なる畳が使われており、民間と公団住宅でも使われる畳の種類が異なります。
現代の一般的な畳のサイズとして用いられることが多い中京間は、1枚が182cm×91cmの1.65㎡で、東京都や愛知県、岐阜県などを中心に使用される畳の種類です。
関東では江戸間と呼ばれる種類も普及しており、1枚が176cm×88㎝の1.54㎡と中京間よりもやや小さいサイズをしています。
関西の多くや中国・九州地域で普及している畳は本間または、京間と呼ばれる種類で、1枚が191cm×88㎝の1.82㎡と、関東で使用される種類よりもひと回りほど大きいです。
そのほかに、公団住宅で使われる団地間はもっとも小さく、中京間と本間の間くらいのサイズの六一間と呼ばれる畳は山陰で使われています。
規則で定められた畳1枚の平米数はどれくらい?
地域によって畳の種類が違いますが、最大で一辺が20cmも差が出るとなると、遠方の土地へ引っ越す際に、情報を見ただけでは部屋の広さがどれくらいなのかわからなくなってしまいます。
不動産公正取引協議会では契約者に不利益が生じないように、畳1枚を1.62㎡以上と定め、日本全国で平米数を統一しました。
これにより、その物件で使われている畳の種類が異なっていても、表記の違いによる誤解を受けないよう、平米数を見れば広さがわかるようになったのです。
物件情報に記載されている数値と実際の体感する広さのズレを解消したことで、たとえば畳1枚が1.62㎡なので、10畳では16.2㎡とわかりやすくなりました。
一人暮らしの部屋の広さが10畳は広い?狭い?
部屋の広さが10畳と記載されていても、どのような間取りの部屋かによって居室として利用できるスペースは異なることを知っていますか?
間取りによってどれくらい部屋の広さが異なるのか、一人暮らしでよく選ばれる1Kとワンルームの2つの間取りで違いを比べてみましょう。
1Kは部屋を広く使える快適な間取り!
1Kの間取りは、居室部分にくわえてキッチンや浴室、トイレなどの水回りがある構造をしているため、スペースを分けられる利点のある間取りです。
この場合、居室とキッチンや浴室などがあるスペースは扉で仕切られているため、別のスペースとして認識されます。
部屋の広さが10畳分と記載されている場合、居室部分だけで10畳分あり、キッチンや浴室は別と考えるのが一般的です。
また、一人暮らしの一般的な間取りでは、居室部分の広さは平均6〜8畳なので、10畳分は一般的な部屋の広さよりも2畳分多いことがわかります。
このため、10畳分=16.2㎡の居室空間が自由に使えるので、一人暮らしでは十分な広さが保てる物件と言えるでしょう。
シングルサイズのベッドを置いても余裕があり、セミダブルサイズのベッドを置いてもリビングスペースを作ることができます。
10畳のワンルームの部屋の広さは10畳分ではない?
1Kよりも狭い間取りとなるワンルームの場合では、部屋の広さはどう変わるのか、それはワンルームの構造がポイントです。
ワンルームは、玄関を入ると部屋全体が見渡せる1つのスペースになっており、キッチンや浴室、居室も1つのスペースと考えられます。
そのため、部屋の広さはキッチンスペースと居室部分を合わせて計算されることが多く、実際に使える広さは表記される10畳分よりも狭いのです。
間取り図をよく見てみると、部屋の広さの表記が居室部分だけでなくキッチンや収納スペースも含めた表記であることがわかるでしょう。
キッチンスペースを2〜3畳分使っているとすると、居室部分は7〜8畳分となり、一般的な一人暮らしの部屋の広さと大差ありません。
一人暮らしの部屋として決して狭いわけではありませんが、10畳分使える1Kと比べると少々手狭に感じられる可能性が高いと言えるでしょう。
10畳の部屋の広さを有効活用した間取り別レイアウト
同じ10畳でも間取りによって実際の部屋の広さに違いはありますが、間取りに合わせたレイアウトを心がければ、どの間取りでも快適な住まいを作ることができます。
1Kの部屋をより広く使えるレイアウト術!
1Kの間取りは、生活が見えるキッチンと寛ぎの居室部分を分けることができる構造になっているので、その特徴を活かしたレイアウトを考えてみましょう。
部屋の広さが10畳分もあるからといって、好きな家具を部屋いっぱいに押し込んでしまうと狭く見えてしまうのでおすすめしません。
レイアウトを考える際に重要なことは、家具を詰め込みすぎずに抜け感を作り、色の系統を合わせ部屋全体の統一感を持たせることです。
メインとなる家具は大きくし、そのほかの家具は小ぶりなサイズを選ぶことで、空間を圧迫しないレイアウトにしやすくなります。
部屋の形が奥行きのある長方形の場合、背の高い家具を置くと圧迫感が出やすいため、コンパクトな大きさの家具にまとめると良いでしょう。
部屋を仕切るように家具を配置するよりも、壁際に寄せて配置すると中央のスペースを広く使え、室内の行き来も楽になります。
ワンルームもレイアウト次第で快適性を向上!
ワンルームの間取りは、玄関からキッチンや居室部分までひと目で把握できる構造をしているため、全体をコンパクトにまとめることがレイアウトのポイントです。
部屋の広さが10畳あるとは言え、キッチンと居室部分を合わせて10畳分なので、空間を仕切りで分けようとするとごちゃついた印象になってしまいます。
また、キッチン前に大きな家具を置くと、家事動線を遮りやすくなってしまうため、キッチンでの作業がやりにくくなる可能性が高いです。
そこで、キッチン前はできるだけスペースを確保しつつ、家具には背の低いものを選び、コンパクトにまとめると広さを演出しやすいでしょう。
ソファーとベッドではなく、ソファーベッドを置いたり、テーブルを1つにまとめたりして家具の数を減らして空間の余白を作ることを意識すると、部屋を広く使えます。
さらに、家事動線の邪魔にならないことを優先して家具を配置すれば、ワンルームでも快適性を損なわずに、素敵な部屋を作れるでしょう。
まとめ
物件情報に記載される部屋の広さは、間取りや畳の種類によって体感する広さに差がありますが、平米数を見れば、ひと目で正確な広さを確認できます。
しかし、文字情報だけで理想の部屋を見つけるのは難しいため、内見でコンセントの位置や窓の大きさなども含めて、レイアウトで理想の部屋にできるかをイメージしてみましょう。