堺市のなかでも豊かな自然が残る南部丘陵地帯の一角に、市民と地元大学との協力によって作り上げられた「森の学校」と呼ばれる公園があることをご存知でしょうか?
自然に触れ、自然を学べる「堺自然ふれあいの森」の概要から、自然を満喫する公園の楽しみ方、そして月ごとに開催されるさまざまなイベントまでご紹介します。
堺市の自然に囲まれた堺自然ふれあいの森の概要
豊かな自然が残されているにもかかわらず、それを活かすことができず消えかけていた里山文化を保全する目的で、文化の継承地と学びの場としての役割を持つ公園が設立されました。
堺自然ふれあいの森が開園に至るまでの概要
堺市の南の丘陵地帯の一部にあり、周りを田畑や山に囲まれた場所で、堺自然ふれあいの森が平成18年に開園しました。
少し前までの堺市の南部丘陵地帯は、休耕された田畑や管理が行き届かない雑木林が増加していましたが、ここから里山文化を継承する新たな試みが始まりました。
「堺自然ふれあいの森」は、里山保全型の公園づくりとして公募により集まった市民委員、大阪府立大学、そして堺市が協力し、先進的な取り組みによって実現されました。
「堺自然ふれあいの森」の設立に至る過程では、平成13年に基本計画や管理運営を担当する市民委員を公募し、翌年から本格的な公園づくりがスタートしました。
何もかもが手探りのなか、ワークショップを開催して意見交換をおこなったり、複数の班に分けて管理体制を整えたり、1つずつを積み重ねていきました。
そして、里山保全型の公園づくりがスタートしてから4年後の平成18年4月2日に、人と里山文化の新しい関わり方を学びながら里山文化を継承する「森の学校」として開園しました。
堺市の堺自然ふれあいの森へのアクセス方法
公園へのアクセスには車またはバスでの移動となり、車の場合は隣接する敷地に約40台駐車可能な平面駐車場が利用できます。
カーナビゲーションで公園の住所を検索すると、誤った地域が表示される恐れがありますので、隣接する「堺公園墓地」を目指すと良いでしょう。
バスでのアクセスの場合、泉北高速鉄道の泉ヶ丘駅の南側2番乗り場から出発する南海バス鉢ヶ峰行き(24系統)に乗車し、「公園墓地北口」バス停で下車、そこから徒歩13分で到着します。
●所在地:大阪府堺市南区畑1740番地
●開園時間:①9:00~17:30(3~10月)②9:00~16:00(①以外)
●休園日:月曜日(月曜日が祝日の場合は直後の平日が休園日になります)、年末年始(12月29日~1月3日)
●駐車場:約40台(無料)
●アクセス方法:南海バス(鉢ヶ峰行き)「公園墓地北口」バス停下車徒歩13分
堺市の堺自然ふれあいの森の3つの楽しみ方
豊かな里山の自然を活かした堺市の堺自然ふれあいの森を満喫するには、そこにある自然に触れに行く3つの楽しみ方がおすすめです。
森へハイキング!探検と発見の楽しみ方
堺自然ふれあいの森は、駐車場から繋がる森の館が敷地の端にあり、そこから森へと続く散策路が整備されています。
1本道の遊歩道ではなく、より自然そのままを感じられるように複数の分かれ道となっているので、森のなかを探検するかのようなハイキングが可能です。
散策路はすべて手作りされた道で、昔の踏み分け道をもとに作られているため、アップダウンのある山道のような作りをしています。
西のおじいさんの木・東のおじいさんの木と名付けられたシンボルツリーは、堺市を代表する樹木のブナ科のシリブカガシです。
動植物を見て回る!生き物観察の楽しみ方
堺自然ふれあいの森は、広い森のなかを自由に遊べることが魅力の自然に溢れた公園なので、実際に森に生息する生き物を観察するにはうってつけの場です。
虫あみと虫かごは無料で最大3時間まで貸し出しできるため、森の館の図鑑や標本にある生き物たちを探しに出かけてみる楽しみ方もできます。
また、季節の草花もふんだんにあるので、春にはタンポポやスミレ、夏にはユリやネジキ、秋にはセンニチソウ、冬にはフユイチゴやツバキを楽しめるでしょう。
自然豊かな森をそのまま活かした公園は、シジュウカラやルリビタキなどの野鳥も生息しているため、声を頼りに姿を探すのもおすすめです。
生き物図鑑から標本まで!森の館の楽しみ方
森の館は駐車場から繋がる施設で、森の生き物の図鑑や標本などが展示されており、自由に見学することが可能です。
森の館には食事を提供する施設や売店はありませんが、展示スペースの一部を休憩スペースにしているので、お弁当を持参して休憩スペースで食べることができます。
さらに、車椅子での利用も想定して、身体が不自由な方のための専用駐車場と、そこから森の館へと繋がるエレベーターが設置されています。
森のなかへも続く木道は、100mほどの段差のない道を整備しており、森の館の外へも車椅子やベビーカーのまま移動が可能です。
堺市の堺自然ふれあいの森で開催される予約必須イベント
堺市の堺自然ふれあいの森では、自然のなかで生き物や草木を直接観察できる予約必須のさまざまなイベントが毎月開催されています。
森で採取した材料でクラフト体験イベント
小枝や木の実など、堺自然ふれあいの森で採取された森の恵みを使って作るクラフト教室は、子どもから大人まで参加できる人気イベントの1つです。
用意された材料を使って、毎月変わるテーマに合わせた工作物を作り上げる楽しさは、発想力や創造力を刺激してくれるでしょう。
作業時間は約45分間とし、月によって開催される枠数が異なるので、予約時に開催時間を確認しておくことをおすすめします。
参加費は1作品に付き50円、持参する道具などは一切ないので、どなたでも気軽に参加することができるのがクラフト教室の魅力です。
種まきから収穫まで実際の農作業体験イベント
堺市の南部丘陵地帯は、もとは田畑などの農業が営まれていた土地なので、農作業をおこなうには最適の土地です。
堺自然ふれあいの森で開催される農作業体験イベントでは、荒地の開墾から始まり、落ち葉を利用した堆肥づくりなど、昔ながらのやり方でおこなわれます。
1つ1つが体力を消耗する作業ですが、自分たちの手で作り上げていく楽しみや、時間をかけて実らせた作物の収穫は、普段知ることのない農業を知る良い機会となるでしょう。
サツマイモやジャガイモ、稲刈りなどの収穫もあれば、田畑の水路管理をおこなう体験もあるなど、農作業の全容を知ることができます。
参加費は約200円で、作業に必要な帽子や軍手、長靴などの動きやすい服装から、タオルや飲み物や虫除けなどを持参する必要があるので、持ち物をよく確認しましょう。
季節ごとに違う森の生き物を観察するイベント
毎月最終週の日曜日に開催される親子で森あそびは、4〜6歳の子どもとその保護者を対象にした体験型イベントです。
午前中の約1時間をかけて森のなかへ入り、季節に応じた植物やそこに生きる生き物を探したり、自然のなかを親子で遊びます。
家の周囲では見ることのできない植物や虫たちを観察し、木々のどこかでさえずる野鳥を探すなど、街中の公園では味わえない遊び方ができるでしょう。
参加費は200円で、動きやすい服装であれば特定の持ち物は必要ありませんが、これから暑くなる時期には、日差しを遮る帽子や水分補給の水筒を持参する必要があります。
基本的に雨が降ってもイベントは開催されますが、雨の状況によっては中止となる場合もあるかもしれません。
まとめ
堺市は発展した都市部と豊かな自然を残す里山とが共存しており、少し都市部を離れると深い緑に覆われた山野に至ります。
利便性の高さも大切ですが、心を豊かにする自然が近くにあるというのも、住み心地の良さに関わる重要なポイントではないでしょうか。