賃貸物件を借りる際には、借主と貸主との間での取り決めた内容を細かに記載した賃貸借契約書に署名・捺印し、それぞれが原本を所有します。
しかし、この大切な契約書を紛失してしまった場合には、どのようなことになってしまうのか、起きるリスクや困るケースなどを知っておきましょう。
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弊社へのお問い合わせはこちら賃貸借契約書の役割とは?紛失した際のリスクを考察
賃貸物件を借りる際に、契約内容を細かく取り決めた賃貸借契約書を借主と貸主との間で交わしますが、この書類にはどのような役割があるのか、紛失した場合のリスクを含めて考えてみましょう。
賃貸借契約書の記載内容は?
賃貸借契約書とは、借主と貸主との間で交わされた物件を貸す・借りるための決め事や使用に際して守るべきラインを明確にした契約書です。
記載される内容は、物件を借りる方・貸す方の名前と住所、対象となる物件の所在地や物件が現在どのような状態にあるか、付帯設備なども明記されます。
契約書として最初に確認される項目は、借主がいつからいつまで使用することができるかの契約期間と、いくらで借りる約束をしたかの賃料です。
物件を使用するにあたっての注意事項には何があるか、ペットの飼育や楽器の演奏などが禁止の場合、それらの内容が細かく記載されます。
また、借主と貸主との間で特別に交わされた約束事は特記事項に記載され、内容に間違いや誤解がないかを確認する必要があるでしょう。
上記の内容は契約する際の書類ですが、ここには契約更新や解約の際の条件や手順などの取り決めが記載されています。
賃貸借契約書の役割とは?
人間同士の口約束では、時間の経過や認識の相違といったわずかなすれ違いによって、お互いが契約内容を誤解してしまう事象が発生します。
たった1つの誤解からでも、使用方法の間違いや禁止事項への抵触など、借主と貸主との間のトラブルに発展してしまいかねません。
さらには、近隣住民や隣の入居者との間でもトラブルになるリスクも高まるため、どのような内容で契約しているか、お互いが誤解しない明確な線引きが必要となるのです。
賃貸借契約書の役割とは、借主と貸主とが誤解なく使用方法や注意事項を認識し、お互いが納得して取り決めた内容を忘れないようにする意味を持っています。
トラブル発生時や使用に関する疑問などがあった際は、賃貸借契約書をよく読み返すと、特記事項や使用上の注意事項などにその答えが明記されているでしょう。
賃貸借契約書を紛失した場合どうなる?
賃貸借契約書には、対象となる賃貸物件を誰がいつまで使用することができるか、どのような使用上の注意事項を守らなければならないかなどが記載されています。
その契約書を紛失したとなると、すぐに考えられるのは契約者としての権利が消失してしまうのではないかという不安でしょう。
しかし、契約書を紛失したとしても、契約者としての権利が消失してしまうことはなく、紛失した事実を誰かに告げる義務もありません。
賃貸借契約書を紛失!再発行してもらえるのか?
賃貸借契約書を紛失してしまった場合、契約内容を確認する必要がなければ困りませんが、いざというときのために原本を持っておきたいとなると、再発行という手段が考えられます。
賃貸借契約書の再発行が難しい理由
大切な契約書を紛失してしまった場合でも、借主と貸主のお互いが原本を持っているので、所在が明確な貸主の契約書をもとに、再発行をしてもらえないかと考えるでしょう。
しかし、大家や管理会社は無用なトラブルになるリスクを避けるべく、唯一無二である賃貸借契約書の再発行を避けます。
賃貸借契約書とは、借主と貸主の双方が納得した内容を記載した唯一無二の書類であり、同じ原本をもとに再発行したとしても、厳密には同じ書類として扱われません。
もし、少しでも以前の契約書と内容が違っていた場合には、その違いを争って裁判になる可能性が考えられるので、リスクを避けるために再発行しない大家や管理会社がほとんどです。
賃貸借契約書のコピーをもらうことはできる?
再発行が無理ならば、せめて貸主が保管している原本のコピーをもらうことはできないかと考えますが、これならば対応できる可能性は高いです。
重要書類である賃貸借契約書は、大家だけでなく賃貸物件を仲介した不動産会社も所有しており、法律によって5年間保管することが義務付けられています。
不動産会社の規則によりますが、コピー対応可能なところであれば、手数料を支払うことでコピーを取得することは可能です。
再発行もコピーも断られた場合に相談できる機関
賃貸借契約書の再発行もコピーも断られてしまった場合、どうしても契約書がないと困るケースでない限りは、そのままでも問題はないでしょう。
どうしても契約書がないと困るという場合には、お住まいの自治体に設置されている相談窓口へ出向き、契約書の紛失についての相談が可能です。
相談窓口の名称は各自治体によってさまざまで、統一された名称ではないので、お住まいの自治体の公式サイトで確認します。
たとえば、東京都では東京都住宅政策本部民間住宅部不動産業課で、アパートや店舗などの賃貸物件に関する相談ができます。
そのほかにも、各都道府県にある消費生活相談窓口や全国宅地建物取引業協会連合会でも、同じように相談可能です。
紛失した賃貸借契約書が必要となる3つのケース
一般的な使用方法の枠を出なければ、賃貸借契約書を紛失していたとしてもトラブルになることはありませんが、次のようなケースでは契約書の原本が必要になるかもしれません。
トラブル発生時の解決の糸口は契約書!
まず最初に思い至るのは、賃貸物件を使用していてトラブルが発生した際に、契約書の内容を確認しなければ正確な判断ができないケースです。
トラブルが起きやすいのはペットの飼育や楽器の演奏などに関する内容で、飼育可能なペットが制限されている場合には、契約書にその内容が明記されています。
鳴き声が小さいから・小型だからという思い込みでペットを飼育すると、周囲とのトラブルに発展しかねないので、貸主とどういう取り決めをしたか確認する必要があるでしょう。
契約書の内容確認は、トラブルが発生してから確認するよりも、自分が行動を起こす前に確認したほうがトラブルを防止することができます。
賃貸物件で事業を始める際に原本が必要!
賃貸物件の1室をネイルサロンやオフィスにすることは可能ですが、それは店舗利用可能な物件に限られているため、賃貸借契約書の内容を確認する必要があります。
内容の確認だけであれば、契約書を紛失していたとしても大家や管理会社が所有している原本を見せてもらえば良いだけですが、事業の届出をする際に原本が必要なのです。
開業の申請をおこなうためには役所に必要書類を提出しなければなりませんが、その必要書類のなかには賃貸借契約書の原本が含まれます。
事業として利用することが可能な賃貸物件なのかを確認するなどの目的ですが、原本でしか受け付けてもらえません。
退去日の立ち会いで契約書が必要になる可能性
一般的な使用方法の枠を出なければ、賃貸借契約書が必要となるケースは少ないですが、稀に退去当日の立ち会いで契約書を持ってくるように伝えられることがあります。
これは、退去に際する原状回復の線引きを明確にするため、契約書に記載の注意事項や特記事項を確認する可能性があるからです。
もし契約書を紛失してしまっていた場合は、大家や管理会社が所有する契約書で確認ができるので、借主が契約書を持たずに立ち会いに応じても問題はありません。
まとめ
再発行がほぼ不可能な賃貸借契約書は、いざというときにこそ確認する必要のある大切な書類なので、できる限り紛失しないように保管しましょう。
もし紛失しても、コピーで対応できることは多いので、慌てることはありません。