理想の間取りに相場よりも安い破格の家賃など、お気に入りの賃貸物件を見つけても、来店したときにはもう契約済みだったという、おとり物件に引っかかった経験はありませんか?
実際には契約できない物件や存在しない物件を掲載するおとり物件とは何か、取り締まりの現状から、物件情報の見分け方まで解説します。
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弊社へのお問い合わせはこちら賃貸物件のおとり物件とは?借りたくても借りられない部屋
賃貸物件を探す物件サイトで入居者募集中となっているのに、店頭で物件情報を出してもらったり、内見したりができないおとり物件の存在を知っていますか?
おとり物件とは?募集中と掲載していても入居できない?
おとり物件とは、実際には存在していない部屋や賃貸借契約を結ぶことができない状態にある部屋にも関わらず、入居希望者を集めるための広告として利用している物件のことです。
物件サイトなどでは通常の賃貸物件と同じく入居者募集中として掲載しているため、データに不審な点がなく、思わず引っかかってしまうでしょう。
どうしてこのような実際には契約することのできない賃貸物件情報が掲載されてしまうのか、それは悪意のないケースと悪意のあるケースの2つに分けられます。
故意ではない?業務上のタイムラグによるケース
1つは、物件サイトの管理業務上のタイムラグや、ケアレスミスによる情報更新漏れなどによって、悪意なく契約済みの賃貸物件を掲載し続けてしまうケースです。
通常、賃貸借契約が結ばれた物件情報は、インターネットやチラシなどの広告媒体からすぐに情報を取り下げますが、広告掲載作業を他社に任せているとタイムラグが発生します。
大家から入居者が決まったと連絡が入って、広告を管理している会社が各広告媒体から情報を取り下げるまでには、物理的に時間がかかるからです。
また、インターネットの物件サイトの場合には、物件情報を消し忘れることによって、思いがけずそのまま掲載され続けてしまうことは、繁忙期によく見られます。
進学や就職による引っ越しで部屋探しを始める1〜3月は、不動産業界の繁忙期と呼ばれ、業務が大きく逼迫することから、物件サイトの情報更新が疎かになりやすいです。
悪質な違法行為!入居希望者を集める目的のおとり物件
もう1つは、入居希望者を集めやすくする意識を持って、故意に情報を掲載し続けるケースで、こちらは悪質です。
角部屋などの特定の間取りや駅から近いなど人気の集まりやすい物件は、すでに満室だったとしてもインターネットに掲載しておくだけで入居希望者を集めやすくなります。
実際には契約済みや存在していない架空物件の情報をおとりにしているので、来店されたお客様には別の賃貸物件を勧めて成約するのが目的です。
おとり物件への規制!賃貸物件広告への取り締まり
インターネットなどの広告媒体に掲載する賃貸物件の情報は、法律によって厳しく定められていますが、どのような規制があるのか、一歩踏み込んで解説します。
宅地建物取引業法32条による誇大広告の規制
実際に契約することのできないおとり物件を掲載して入居希望者を集めることは、宅地建物取引業法の第32条の誇大広告等の禁止によって明確に禁止されています。
これに違反した場合には、業務停止処分や不動産取引をおこなう免許の取消処分など、厳しい罰則を受けるでしょう。
しかし、入居希望者を集めるおとりとしての物件なのか、実際に僅差で契約した物件なのかを見極めることが難しいため、検挙に至らないのが現実です。
現時点では、正しく情報を管理し、入居希望者を騙すことがない取引となるよう、賃貸物件を取り扱う不動産会社のモラルによって支えられています。
不動産公正取引協議会連合会によるおとり広告への規制
上記の法律とは別に、不動産公正取引協議会連合会によって定められた規則でも、同じようにおとり広告への規制が明記されています。
不動産公正取引協議会連合会が定める不動産の表示に関する公正競争規約・同施行規則の第8章第2節のおとり広告では、次の3つの広告表示が規制の対象です。
存在しない物件の表示、物件は存在するが取引対象になりえない物件の表示、物件は存在するが取引する意思のない物件の表示はしてはいけません。
どの条件も、実際に賃貸借契約を結ぶことができない状態であることが明確なので、入居希望者の不利益とならないよう、このような取り決めがされています。
賃貸物件サイトのおとり物件の見分け方を解説
僅差で契約が決まってしまったというケースも実際にあるので、契約できなかったからと言って必ずしもおとり物件であるとは断言できません。
賃貸物件サイトのおとり物件に惑わされないためには、情報に不審な点がないか、次の3つの見分け方から確かめてみましょう。
見分け方①相場とかけ離れた家賃ではないか?
よりたくさんの入居希望者を集めることがおとり物件の目的であるため、本来の物件情報よりもお得な内容が記載されている場合には、警戒したほうが良いでしょう。
相場よりも数万円以上も家賃が安い物件は、おとりである可能性が高いので、どのような理由によって家賃が相場よりも安くなっているか確認することをおすすめします。
家賃は大家の収入源であるため、そう簡単には安くすることはなく、相場よりも下げざるをえない理由があると考えるのが通常です。
おとり物件のほかにも、騒音トラブルや事故物件など、さまざまなケースが考えられるため、お得感に騙されないよう注意しましょう。
見分け方②物件住所や建物名が記載されているか?
物件サイトには、間取りや周辺環境などのさまざまな情報が掲載されていますが、そこに建物名や住所の記載も当然あるはずです。
住所は防犯上の観点から、細かな番地までは表示させていないところもありますが、ある程度の住所は必ず登録されています。
建物名も住所も登録されていない場合には、おとり物件であるがゆえに検索されることを恐れて、情報を登録していない可能性があるでしょう。
どうしてもその物件を内見したい場合には、直接不動産会社に問い合わせをおこない、実際する物件か、契約できる状態にあるかを確認します。
見分け方③内見できるか問い合わせてみる
上記2つの見分け方は、契約が決まったなどの言い逃れをされてしまうこともありますが、最後の3つ目の見分け方は、確認した瞬間におとり物件かどうかを判別できます。
その見分け方とは、内見の希望を来店してからではなく、不動産会社の担当者と現地待ち合わせでおこないたいと連絡することです。
おとり物件は、すでに満室の人気の賃貸物件や存在しない賃貸物件などの情報を掲載しているため、内見することができません。
悪意を持っておとり物件を掲載している不動産会社であれば、内見希望の段階で何かしらの理由をつけて断るでしょう。
ただし、来店して内見手続きを必要とする不動産会社もあるので、来店を求めるケースが必ずしも悪質とは限りません。
どうして来店しての手続きが必要なのか丁寧な説明がある、メールなどで手続きを代用することが可能など、柔軟な対応を提示された場合には、おとり物件の可能性は低くなるでしょう。
まとめ
現代はスマートフォンやパソコンが普及し、インターネットに掲載される情報はいち早くキャッチした者勝ちという状態となっています。
インターネットの情報はすぐに更新されるので、悪質な情報に惑わされず、良い賃貸物件を見つけたらすぐに不動産会社に連絡するなど、早めの行動が部屋探しのポイントです。