賃貸物件でフローリングにカビが生えているのを見つけた場合、入居者としてはどういった対処をすれば良いのでしょう。
このとき、何の知識もなくただむやみに取ろうとすると床に傷が入ったり、変色したりする可能性があります。
ではそのカビが発生する原因について、そして生えてしまった場合の取り方、また原状回復の費用などについてまとめてみましたのでご覧ください。
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弊社へのお問い合わせはこちら賃貸物件でフローリングにカビが生える原因とは
最近の賃貸物件は昔ながらの畳式の和室ではなく、フローリング仕上げの洋室が主流となっていますが、その床にカビが発生することがあります。
これらは一度生えてしまうと、その後の処理が面倒なうえ、賃貸物件では退去時に原状回復の義務を負うことになるため、なるべく生やしたくないわけです。
発生を防ぐには、そもそもなぜ生えるのかを知ることがまず大切で、ここでは発生するその原因について主なものを5つ取り上げていきます。
まず1つめの原因として考えられるのが、布団を畳まずにフローリングに敷きっぱなしの状態、いわゆる万年床になっているということです。
聞いたことがあるかもしれませんが、人間は寝ているときに意外と多くの汗をかき、その量は冬で200ml、真夏の熱帯夜では500ml以上にもなります。
この水分は着衣はもちろんのこと、布団にまで行き渡り、ここに体温が加わりカビの大好物である湿度と温度、そしてホコリや皮膚のアカなどの養分のすべてが揃うわけです。
つまりこの状態で繁殖しないわけがなく、久しぶりに布団を畳んだら、布団の下は真っ黒な状態となっていることも決して珍しいことではないのです。
2つめはカーペットやラグ、マットなどを敷いているということで、これも布団と同じく繁殖しやすい環境を作り上げている状態といえます。
3つめは観葉植物などの鉢物の植物を床に直接置いているというケースで、植木鉢には水をやるため、その周辺は湿度が高い状態になっていると考えられます。
また水やりの際の水や液肥などが床に散っている可能性もあり、それらと室内の温度により繁殖する環境が作られていることになるわけです。
4つめとしては室内の構造上の問題で、今の賃貸物件は高気密な作りとなっているものが多く、そのため室内の湿度が上がりやすい状態にあるといえます。
そこに冬場の室内外の温度差という条件が加わることで、結露が生じ、さらに室内の湿度が高くなり、部屋のいたるところで水蒸気が飽和状態となっていきます。
結露は窓にできやすいですが、室内の湿度が高いと、壁やフローリングの表面も常に湿っている状態になっているため発生しやすくなるのです。
そして5つめの原因として挙げられるのが、意外とも思えますが灯油ファンヒーターで、灯油は燃焼すると二酸化炭素と大量の水蒸気を発生するのです。
その水蒸気が結露を呼び、最終的にカビの発生を引き起こすことになるのですが、これら5つの原因に共通するのは湿度と温度が高い状態が発生を呼び込むということでしょう。
フローリングに生えたカビの取り方について
もし賃貸物件でフローリングにカビが生えているのを見つけたら、なるべく早くそれを取り除かなければ、どんどんと広がっていくことになります。
カビは真菌という生物群に属するもので、ここにはほかにも酵母やキノコが含まれ、菌糸の先端から栄養分を取り入れて成長していきます。
では発生した場合の取り方について見ていきますが、まずは濡れ布巾での拭き取りをおこない、できるだけ跡が残らないよう拭き上げていきます。
この作業だけではまだフローリングの表面に菌糸が残っている状態で、ここに濡れ布巾を当てることは、菌糸に水分、つまり栄養を与えているだけになってしまうわけです。
濡れ布巾ではなく掃除機で除去しようとする方もいますが、この場合吸い取ったカビは再び胞子となって部屋中に拡散されてしまいますので注意してください。
濡れ布巾で拭き取った結果、菌糸に水分が行き届いてしまい、その状態を放っておくとまた元の状態に戻ってしまうため、次の作業として消毒をしていきます。
ドラッグストアなどでアルコールや消毒用のエタノールを手に入れ、それを希釈してスプレーなどでその箇所へ直接吹きかけます。
その後乾いた布巾でしっかりと拭き取っていくわけですが、このアルコールやエタノールにはタンパク質を固め、繁殖を抑える効果があるため除去には最適なのです。
フローリングには板と板の間に継ぎ目があり、ここに生えたものは布巾では取り除くことが難しく、たとえば爪楊枝や使い古しの歯ブラシを使ってこすると良いでしょう。
このアルコール類は床に吹きかけても変色などの心配はありませんが、材質によっては色落ちすることもあるため、気になる方は端のほうで試してみることをおすすめします。
アルコールを試した結果、色落ちしてしまう場合は塩化ベンザルコニウム液という薬剤を使用する方法もあり、アルコールと同じように取り除くことができます。
この塩化ベンザルコニウム液は逆性せっけん液とも呼ばれるもので、カビを引き寄せて細胞を変質させる働きがあり、スプレーして数分置いてから拭き取ってください。
こうして除去が終わったら、最後に再び生えてこないように防カビワックスをフローリング全体に塗り込んですべての作業は終了です。
賃貸物件でフローリングにカビが発生したときの退去費用について
賃貸物件での退去時にもしその床にカビが発生していた場合、その修繕費の負担はどうなるのか、入居者にとっては大きな心配の種といえるでしょう。
退去時に入居者は原状回復の義務を負い、入居前の状態に部屋を戻すことになりますが、このとき入居者と大家さんとの間で負担するものが分けられます。
まず、入居者負担となるものは、その入居者が故意におこなったために付いた傷や汚れ、破損などで、カビについてはこの故意的なものに当てはまります。
大家さん負担については、そこで生活するうえで自然に起こる劣化や損耗などで、入居者が普通に生活していればほとんどの場合、その範囲内で収まるわけです。
では今回のようにフローリングにカビが発生した場合、その原状回復義務を果たすことで、どれくらいの退去費用がかかるのでしょう。
原状回復の方法としては主に2つあり、1つめがクリーニングでもう1つがフローリングの張り替えとなり、当然その費用には差が出てきます。
床にはほとんどの場合ワックスが塗布されていて、もしカビが生えてもそのワックスの効果により表面だけで留まることが多く、中の組織にまで及ぶことはあまりありません。
表面だけのものであれば入居者が先述のような取り方で問題はありませんが、中にまで入り込んでいるのであれば、専門の業者に依頼することになります。
もしハウスクリーニングが必要となり、クリーニング業者にお願いすることになれば、その費用としては2万円前後が相場となります。
このハウスクリーニングでも除去できないような状態であれば、フローリングの張り替えが必要となり、その費用は6帖で約10万円です。
まとめ
賃貸物件はあくまでも大家さんからの借り物であるため、明らかな過失が認められる場合は入居者が原状回復の責任を負うことになります。
とくにカビは生えてしまうと後の処理が面倒なため、まず発生する原因をよく確認し、そのうえで日頃から掃除を怠らず、換気もこまめにして発生防止に努めてください。